③ 旧林家住宅

~製糸家林国蔵の居宅 経営の営みを伝える~

製糸家であり実業家であった初代林国蔵の居宅。茶室と洋室が隣り合わせに接し、金唐革紙の和室がある貴重な文化遺産。国重要文化財。

初代林国蔵は、糸商人だった父林倉太郎の後を継いで製糸業に乗り出しました。明治9年に、平野村天竜川畔に官営富岡製糸場を模して20人繰器械製糸場をつくり、天竜製糸場と称します。明治12年片倉兼太郎、尾澤金左衛門と共に開明社を組織し、共同揚返場を設けるなど製糸技術の改良を図りました。

林国蔵はまれにみる実業家で、製糸業のほか、明治24年には鉄砲店を経営、鉄砲の製造販売を行いました。また、このころ製糸燃料不足が問題となるや諏訪薪炭株式会社を創設し、横川御料林の払い下げを受けたり、東筑摩郡西条炭の炭鉱採掘、また常磐炭鉱採掘もおこない、さらに通信業にも関わるとともに、中央東線開通運動にも奔走するなど公共のために尽力しました。

住宅は、イチヤマカ林製糸所の工場敷地の北側にありました。主屋と離れの座敷、茶室、洋館に分かれ、主屋の南側には繭倉庫の形式をとどめる土蔵が並んでいます。とくに希少価値が高いのは、西洋装飾の芸術、「幻の金唐革紙」と呼ばれる壁紙が張り巡らされている離れの2階の和室です。金唐革紙は欧米の建物の壁紙として輸入されていたもので、和室に使われることは一般になかったことです。天井・壁・襖・床の間の壁に全て金唐革紙が張り巡らされており、荘厳な雰囲気を演出しています。全国的にも貴重で、保存のよさもあり、「今はすっかり忘れ去られてしまった金唐革紙の宝庫として日本の近代建築史上にきわめて重要な価値をもつ」という評価も得ています。

また、迎賓館的な位置づけの離れである洋館は商談相手やお客様をもてなすために、洒落たつくりになっています。洋館の玄関が公的な、事業上の来客の玄関でした。洋館の玄関ホールに入ると、右に小さな扉があります。この扉を開けると・・・なんと茶室が!西洋式の玄関から入ってきたお客様にちょっと驚いてもらうユニークな心遣いです。

お問い合わせ先
岡谷市生涯学習課(0266-23-4811(内線1233))
住所
岡谷市御倉町2-20
電話番号
0266-22-2330
定休日
毎週水曜日、祝日の翌日、年末年始(12/29~1/3)
営業時間
9:00~16:30(12月~2月末は10:00~15:00まで)
※冬期の11月4日~3月31日は土日祝日のみの開館となります。
入館料
おとな580円、こども270円、
(団体10人以上の場合 おとな 370円、こども110円)
諏訪郡内6市町村小中学生・岡谷市内在住在学高校生は無料
HP
https://www.city.okaya.lg.jp/soshikikarasagasu/bijutsukokokan/643/441/442/7192.html