⑪ 旧岡谷上水道集水溝

jousui

~「おいしい水」を提供する~

大正中期になると製糸業の隆盛と人口の急増から、飲料水・工業用水の需要が拡大していきます。時同じくして、腸チフスが流行し、その原因が飲料水にあると判明すると、上水道の必要性はさらに高まり、各地区で上水道敷設への動きが活発化しました。

岡谷地区では、関東大震災の影響で計画が一時中断したものの、大正15年に調査を再開。新屋敷区、上浜区と合同で、昭和2年、滝ノ沢山麓の清水の湧出口から直角に山腹を開いて集水溝を建設し、翌年3月に「岡谷水道」として3区一円に配水を開始しました(昭和30年岡谷市に移管)。

こうして「おいしい水」は工女やまちの人々の健康を守り、岡谷の近代化と市民生活を支えたのです。

その後、長野自動車道岡谷トンネルの掘削工事により枯渇、昭和63年に岡谷上水道は廃止されました。現在は、山の所有者である岡谷十五社に返還されています。

切石布積の石造りの建物正面にはアーチ型の扉がついています。幅約4m、高さ3.4m、奥行き19mに及ぶ集水溝内はコンクリート造りの空間で、深部山側壁面の石積みのすき間から湧き水を取り込み、動力を使わずに集水槽、貯水槽へと水を導く設計となっています。

お問い合わせ先
旧岡谷上水道集水溝
住所
岡谷市山手町3-4071
駐車場
山の中なので駐車場所は1台位のみ